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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(六)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(六)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 196,831 字 · 396 頁

青空文庫

それに就いて又いろいろの噂が立ちました。

前にも申す通り、なにぶん血なまぐさい世の中ですから、人間の首も今ほどには珍らしく思われない。現にこの六月頃にも、浪人の首二つが両国橋の際に晒されていた事があります。しかし女の首は珍らしい。そこで、この女も何か隠密のような役目を勤めていた為に、幕府方の者に殺されたか、攘夷組に斬られたか、二つに一つだろうという噂が一番有力でしたが、さてどこの者か一向に判りません。

迷惑したのは小栗家で、自分の屋敷の門前に据えてあったのですから、係り合いは逃がれられません。橋の上にでも晒してあったのならば格別、この屋敷の前に据えてあった以上、なにかの因縁がありそうに思われても仕方がありません。小栗家でもひどく迷惑して、用人の淵辺新八という人がわたくしの所へ駈けて来て、一日も早くこの事件の正体を突き留めてくれという頼みです。用人が来たのは検視その他が済んだ後で、二十三日の夕方でした。

用人の話によると、小栗の屋敷はどこまでも係り合いで、女の首と碁盤とはひとまず其の屋敷の菩提寺、亀戸の慈作寺に預けることになったと云うのです。まったく関係の無いものなら、飛んだ災難です」