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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(六)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(六)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 196,831 字 · 396 頁

青空文庫

小栗の屋敷の用人から頼まれて来たことを打ち明けると、寺でも疎略には扱わなかった。それは御苦労でござると早速に奥へ通して、茶菓などをすすめた。

問題の首は小さい白木の箱に納めて、本堂の仏前に置かれてあった。碁盤も共に据えてあった。但しその碁盤が名妓の遺物であるか無いか、又それが深川の柘榴伊勢屋から出たものであるか無いか、その当時の半七はまだなんにも知らなかったのである。二人は線香の煙りのなかから彼のふた品を持ち出して、縁側の明るいところで一々にあらためた。

用人は飽くまでも無関係のように云っているが、そこに何かの秘密がないとは限らない。半七は住職に逢っていろいろの質問を試みた後に、いずれ又まいりますと挨拶して、門前町の霜どけ路へ出た。

「いい塩梅に風がちっと凪ぎましたね」と、松吉は云った。

「もう午だ。そこらで飯でも食おう」

半七は先きに立って、近所の小料理屋の二階にあがった。誂え物の来るあいだに、松吉は小声で訊いた。

「親分。どうです、見込みは……」

「まだ見当が付かねえ」と、半七は煙管を下に置いた。「首だけでも大抵見当は付く。あの女は確かに堅気の素人じゃあねえ。