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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(六)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(六)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 196,831 字 · 396 頁

青空文庫

万隆寺の僧も今度の開帳に日々参列していたが、教重もその一人で、破戒僧の彼は奉納の兜に眼を着けたのである。

彼も別に悪僧というのでは無かったが、いわゆる女犯の破戒僧で、長袖の医者に化けて品川通いに現をぬかしていた。誰も考えることであるが、あの兜の小判があれば当分は豪遊をつづけられる。その妄念が増長して、彼は明け暮れにかの兜を睨んでいるうちに、寺社方の指図として兜の金銀は取りのけられることになった。それが彼の悪心をあおる結果となって、この機を失っては再び手に入る時節がないと、教重はゆうべ思い切って悪事を断行したのであった。

他寺の僧ではあるが、日々この寺に詰めているので、彼は寺男の弥兵衛が奉納小屋を見まわる時刻を知っていた。弥兵衛が暁け七ツの見まわりを済ませた後、彼は鑿と槌とをたずさえて小屋の内へ忍び込んだ。金や銀は巧みに組み合わせてあるので、定めて面倒であろうと思いのほか、一枚をこじ放すと他はそれからそれへと容易に剥がれた。元来は小判を盗むのが目的であったが、仕事が案外に楽であったので、彼は更に二朱銀五、六個を剥ぎ取った。

そのときにも彼は自分の顔を隠すために、夜叉神堂の古い面をかぶっていた。