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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(六)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 196,831 字 · 396 頁
なにか御用でござるか」
住職の物云いは穏かであるが、その眼の怪しく光っているのを、吉五郎は見逃がさなかった。
初対面の住職はもう四十五、六歳であろう。色の蒼白い痩形の一種の威厳を具えたように見える人柄であった。彼は何事も知らないのであろうか、あるいは何かの秘密を知っているのであろうか。それを確かめない以上は、迂闊な返事も出来ないので、吉五郎は用心しながら答えた。
「実はここの火の番の藤助という者の行くえを探して居りますと、今夜こちらの御門前でその姿を見付けましたので、取り押さえて一旦は縄をかけたのですが、又どこへか逃がしてしまいましたので、それを探しにお墓場の方へまいります途中、なにぶんにも暗いので、足許に倒れている石塔につまずきまして……」
「左様でござりましたか。火の番の藤助はわたくしも識って居りますが、あなた方のお縄にかかりながら又それを抜けて逃げるとは、見掛けによらない大胆者でござるな。して、藤助に何か御詮議の筋があるのでござりますか」
「藤助は先月以来、行くえが知れないのでございます」
「それはわたくしも聴いて居りますが……。では、藤助は何かうしろ暗いことでもあって、すがたを隠しているのでござりますな」