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ちえのいちたろう

智恵の一太郎

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《智恵の一太郎(ちえのいちたろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 67,333 字 · 134 頁

青空文庫

「へんだなあ」「わけがわからないや」少年たちは口々にそんなことをいって、ただ立ちどまっているばかりでしたが、謎をとくことの大すきな明石一太郎君だけは、熱心にそのへんを歩きまわって、何か手がかりはないかと、しらべはじめました。

「みんなも、ただ驚いているばかりじゃいけない。明石君のようにもっとそのへんをしらべてごらん。謎をとくのには、人の気のつかない、こまかいことを、よく注意して見るということが一番大切なんだよ。そして、その見たことを、すじみちを立てて考えるのだ。算数でも理科でも、そういう風にしてやれば、いつでも正しい答が出てくるのだよ」

高橋さんに教えられて、三人の少年が歩き出そうとしていた時でした。ずっと先の方へ行っていた明石一太郎君が、ニコニコしながら、かけもどって来ました。

「高橋さんわかりました。これは啓ちゃんの足あとです。啓ちゃんは鳥じゃないから、空へまい上ったのではなくて、ちゃんとむこうの大通りまで歩いて行ったのですよ」

啓ちゃんというのは、近所の酒屋さんの子供ですが、今朝の雪投げには、仲間入りをしなかったのです。

一太郎君の答を聞きますと、高橋さんが何もいわぬ先に、横から北川君が口出しをしました。