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ちえのいちたろう
智恵の一太郎
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《智恵の一太郎(ちえのいちたろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 67,333 字 · 134 頁
「なんだ、橋をかける名人というのは、蜘蛛のことなんですか。でも、僕は蜘蛛っていう虫はあまりすきでないんです。あの恰好を見るとぞーっとするんです」
一太郎君が顔をしかめていいますと、伯父さんは待っていたといわぬばかりに、
「お前が蜘蛛をこわがることは、よく知っているよ。だから、今日はお前に蜘蛛という虫のえらいところを、よく見せようと思ったのだ。
この感心な虫が、なぜそんなにいやなのだね。なるほど蜘蛛は、網にかかった、はえだとか、あぶだとか、もっと大きな蝶なども、えじきにしてたべてしまうけれど、それは蜘蛛が悪者だからではない。神様がそういうくらしをするように、おこしらえになったからなのだ。蜘蛛は勇敢な猟師なのだよ。人間だって、鉄砲で猪や鹿をうったり、網で魚をとったりするじゃないか。蜘蛛はそういう猟師をしてくらすように生まれついた虫なんだよ。
なんという熱心な猟師だろう。あの自分のからだの何百倍、何千倍とあるような大きな網を、一時間か二時間であんでしまうんだよ。そして、雀や、風なんかに網をやぶられると、一日に何度でもしんぼうづよく同じ網をはりなおすんだよ。