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あんごうのやくわり

暗号の役割

海野 十三

線上閱讀海野 十三《暗号の役割(あんごうのやくわり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,409 字 · 23 頁

青空文庫

と碇が不審の思い入れだ。

「ははあ、あれは拙者のふきかえ紳士でな、日当千円のものいりじゃ。後で君の方へ請求書を廻すことにしよう」

「おい猫々先生。どうするつもりか。いつまでわれわれに手をあげさせて置くんだ」

「いや、もうすぐだ。警察隊がやがて来る。もう五六分すれば……」

「五六分すれば……」

烏啼の目がぎらりと光って碇へ。

と、高くさしあげた碇の手の中で、ぴしんと硝子のこわれる音がして、破片が床にこぼれ落ちた。

「何だ。何をした」

と、袋探偵は銃口を碇の方へ向ける。そのとき碇が蒼白になって昏倒した。と、その隣にいた烏啼もばったり倒れた。

「どうした……」

言葉半ばに、探偵の瞼は重くなり、抱えていた機銃をごとんと足許へ取落とした。が続いてその機銃の上へ、彼の身体が転がった。

三人の金庫破りの名人たちも、ばたばたばたと倒れてしまった。

みんな死んだ。いや人事不省かも知れない。そしてこれは僅か数秒間の出来事であった。一体何事が起ったのであろうか。そのとき、どやどやと足音がして雪崩れこんで来た十数名の男たち。彼らは申し合わせたように防毒面をつけていた。

そして烏啼以下五名の賊徒を引担ぐと、踵をかえして急いで部屋を出ていった。