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ダーク・ミニスター

暗黒公使

夢野 久作

線上閱讀夢野 久作《暗黒公使(ダーク・ミニスター)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 214,561 字 · 420 頁

青空文庫

それにしても不思議な魅力を持った少年ではある……。

……イヤ……いけない。又少年の事を考えている。何にしても早く会ってみる事だ。そうして自分一流の的確な推理を働かしてみる事だ……。そうだ……。

こんな風に自問自答しているうちに私は応接間へ大胯で帰って来た。見ると少年は瓦斯ストーブに最も遠い入口の処の椅子に片手をかけて立っていたが、私がずっと中に這入って窓際に据えた大机の前に来ると、私に正面して姿勢を正しながら静かに目礼をした。

「さあお掛けなさい」

と云いつつ私はデスクの前の古ぼけた肘掛椅子に腰をかけたが、少年は遠慮して容易に椅子に就かなかった。しなやかな不動の姿勢を取って、すこし含羞みながら立っていた。

「私が狭山です。何の御用ですか」

と私はその顔を見上げながら、私一流の厳格な態度で訊ねた。

実をいうとこの時に私は、この少年に対して一種の不安と不愉快とを感じ始めていた。これは非常に得手勝手な話であるが、つまり私はこの少年のために、前に述べたような孤独な生活の安静を妨げられるような事になりはしまいかという虞を十分に感じ始めていたからで、さもなくともこの少年が、私に与えた驚きと疑いは、今まで実験の事で一ぱいになっていた私の頭を掻き乱すに十分……十二分であったからである。