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げっぴょうをして
月評をして
豊島 与志雄
線上閱讀豊島 与志雄《月評をして(げっぴょうをして)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 3,339 字 · 7 頁
既に名を成した作家の作品と、未だ名を成さない作家の作品とを、同一標準で律しないことである。この誤謬は現在にのみ立脚しないことから来る、過去を酌量することから来る。作品と作者とを一つにして見る他の種類の批評の分野、それを侵さんとすることから来る。
所謂大家と称せられる作家の作品にとっては、そういう名称の下に余りに苛酷に取扱われることは、それだけの損害でなければならない。所謂新進作家と称せられる作家の作品にとっては、そういう名称の下に余りに寛大に取扱われることは、それだけの侮辱でなければならない。右と反対の取扱方は、その作品にとっては、阿諛であり或は虐待でなければならない。そしてそれらは何れも当の作者には不快となる。
自分の産み出した作品が、或は損害や阿諛を受くることは、或は侮辱や虐待を受くることは、作者の快しとする所ではあるまい。大家を更に鞭撻し激励せんとする勇気と新進作家を引立てんとする同情とは、之を他の種類の批評に求むるがよい。文壇は実力の競争場である。而も勝負を争う処ではない。其処にハンディキャップを持ち出すのは一種の冒涜である。
現在の作品を皆同一の標準で律すること、それが月評の務めでなければならない。