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ザボンのはなのさくころ

杉田久女随筆集

杉田 久女

線上閱讀杉田 久女《杉田久女随筆集(ザボンのはなのさくころ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 15,008 字 · 31 頁

青空文庫

之等の句ただ顔面のみを極力描き出している。

笑みとけて寒紅つきし前歯かな   久女

鬢かくや春眠さめし眉重く   同

寒紅の句は女性の美しい笑というものを取扱ったもので、笑みとけた朱唇と寒紅のついた美しい歯とが描かれてある。

元ゆいかたき冬夜の髪に寝たりけり   みさ子

芥子まくや風にかわきし洗ひ髪   久女

等大正女流は髪そのものを主に詠出で、

涼しさや髪ゆひなほす朝機嫌   りん女

日当りや白髪けづる菊の花   星布

古の女流は、涼しさ、菊の日向の季感を濃く詠じている。

ゆきあへばもつるる足や土手吹雪   和歌女

(6) 婦人の姿態をよめる句

大正女流はその姿態を大胆に描出し、自己表現の写生句を試みている。

ぬかるみやうつむきとりし春着褄   和歌女

病み心地の母とよりそひ林檎むく   みさ子

紫陽花きるや袂くわへて起しつつ   久女

睡蓮や鬢に手あてて水鏡   同

白足袋や帯のかたさにこゞみはく   みどり

病み心地の母により添い林檎をむく乙女心或は春着の褄をとり、或は水鏡し、金繍の帯のかたさにこごみつつ足袋をはく姿。紫陽花の重いまりを起しつつきらんとする女。かかる姿態のさまざまをよめる句も、繊細な写生練習の一つの方法であった。