輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
りりょう
李陵・山月記・弟子・名人伝
線上閱讀中島 敦《李陵・山月記・弟子・名人伝(りりょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 65,013 字 · 129 頁
李陵は別にありがたいとも気の毒だとも思わなかった。司馬遷とは互いに顔は知っているし挨拶をしたことはあっても、特に交を結んだというほどの間柄ではなかった。むしろ、厭に議論ばかりしてうるさいやつだくらいにしか感じていなかったのである。それに現在の李陵は、他人の不幸を実感するには、あまりに自分一個の苦しみと闘うのに懸命であった。よけいな世話とまでは感じなかったにしても、特に済まないと感じることがなかったのは事実である。
初め一概に野卑滑稽としか映らなかった胡地の風俗が、しかし、その地の実際の風土・気候等を背景として考えてみるとけっして野卑でも不合理でもないことが、しだいに李陵にのみこめてきた。厚い皮革製の胡服でなければ朔北の冬は凌げないし、肉食でなければ胡地の寒冷に堪えるだけの精力を貯えることができない。固定した家屋を築かないのも彼らの生活形態から来た必然で、頭から低級と貶し去るのは当たらない。漢人のふうをあくまで保とうとするなら、胡地の自然の中での生活は一日といえども続けられないのである。
かつて先代の且侯単于の言った言葉を李陵は憶えている。漢の人間が二言めには、己が国を礼儀の国といい、匈奴の行ないをもって禽獣に近いと看做すことを難じて、単于は言った。