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ひがしやまじだいにおけるいちしんしんのせいかつ

東山時代における一縉紳の生活

原 勝郎

線上閱讀原 勝郎《東山時代における一縉紳の生活(ひがしやまじだいにおけるいちしんしんのせいかつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 69,142 字 · 134 頁

青空文庫

といって、これを断わったのであるけれど、その翌年姉小路中将から懇望せられ、再三堪えざる旨を述べて辞退したがきかれず、やむを得ず書いてやった。すると続いて伊勢備中守からしての所望があった。一旦筆を執った上は断わることもできず、直ぐさまこれをも書いてやった。それからして同様の注文が追々とあったらしく、書いてやった先きの人に招かれて、己の書いた将棋を翫び、大いに興を催したことなどが彼の日記に見えている。

他人に書いてつかわしたばかりでなく、実隆はまた自分のためにも書写した。心願あって書写したという『心経』や『孝経』のほかに、自分用の『源氏物語』をも写した。五十四帖の功を竣ったのは、文明十七年の閏三月で、これをばよほど大切にしたものと見え、延徳二年の十月には、わざわざ大工を喚んでこれを納るべき櫃を造らしめた。題銘をば後成恩寺禅閤兼良に書いてもらったのである。しかるに永正三年八月、甲斐国の某から懇望され、黄金五枚千五百疋でこれを割愛した。その後享禄二年の八月に、肥後の鹿子木三河守親貞から切に請われて、また一部を割愛した。その代価は先のよりは高く二千疋である。