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ひがしやまじだいにおけるいちしんしんのせいかつ

東山時代における一縉紳の生活

原 勝郎

線上閱讀原 勝郎《東山時代における一縉紳の生活(ひがしやまじだいにおけるいちしんしんのせいかつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 69,142 字 · 134 頁

青空文庫

かくのごとくして宗祇の名九重の上に達し、明応七年十一月には禁裏からして三荷二合の酒肴を宗祇法師に下さるることになった。これもまた実隆の伝達によったので、翌日宗祇天恩の有り難きを謝し、かつ挨拶のため実隆邸を訪い、天恩の一荷を頒ちて、もって当座の礼心を表したとある。実隆はかく宗祇を禁裏に推挙し、その他何事につけても芳情を示したからして、宗祇もまた二なく実隆を頼んだので、在洛の間にたびたびの訪問をしたのみならず、地方遊歴に出かける前、旅行から帰洛した後そのたびごとに必ず実隆のもとに訪れるのを例としておった。そもそも連歌師の常とはいいながら、宗祇の旅行は、その回数においても、はたまたその範囲においても、共にすこぶる驚くに足るものであり、関東には七年も遍歴し、十一箇国それぞれの場所から富士山を眺めて、なかんずく筑波山から見るが最もよいと断定したほどの大旅行家で、したがって方言にも精通し、かつて実隆に『京ニ筑紫ヘ坂東サ』などの物語をしたこともある。

実隆が文明十七年に、彼から『源氏』の講釈を聞くようになった以後、日記に見える彼の旅行だけでもおびただしいもので、最もしばしば、しかも手軽くやったのは、江州と摂州とであるが、江州行きなどは、あるいは彼にとり旅行の部に入るべきものでないかも知れぬ。