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ひがしやまじだいにおけるいちしんしんのせいかつ

東山時代における一縉紳の生活

原 勝郎

線上閱讀原 勝郎《東山時代における一縉紳の生活(ひがしやまじだいにおけるいちしんしんのせいかつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 69,142 字 · 134 頁

青空文庫

しかしながらこれに反して京都を始めとして六十六国ほとんど同じような不安の状態にある足利時代のごときにおいては、どこがまったく安心だというべき場所がないのであるから、不安の点において全国均一に近い。この均一の状態に近づいたという点は、すなわち文明の波及の行き届く下地になるので、この点において足利時代は、鎌倉時代および藤原時代にまさっており、この均一が基礎をなしたればこそ、徳川時代の大統一ができたのだ。

論文の前半を終るに臨みて最後に付け加えておきたいことは、旅行と不安の念との一般の関係である。商売その他利益を得ることを目的とする旅行においては、その利益のために相当な危険を冒すことは、多数の辞せざるところだ。したがって大なる利益を獲得する望みがある場合には、大なる危険をも意とせぬことしばしばである。しからば獲利を主眼としない、たとえば快楽のための旅行はどうであるかというに、これとても不安の状態のために全然妨止せらるるものとはいい難い。否、多少の不安の念は、旅行者に与うるに、旅行に必要な設備の具全からざるものとは異るところの一種の快感をもってするものである。