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いなかがえり

林芙美子随筆集

林 芙美子

線上閱讀林 芙美子《林芙美子随筆集(いなかがえり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 58,157 字 · 118 頁

青空文庫

二年生の時、椿姫の唄を唱歌室で聴きました。新任の亀井花子と云う音楽教師がレコードをかけてくれたのです。「ああそはかのひとか、うたげのなかに……」と云ったような言葉でしたが、唱歌の判らない私にも、その言葉は心が燃えるほど綺麗だったのです。上級にすすんで、私はウェルテル叢書を読むようになりました。橙色のような小さい赤い本で、マノン・レスコオだの、ポオルとヴィルジニイだの、カルメン、若きウェルテルの悲しみ、など読み耽りました。私たちの受持教師に森要人と云う、五十歳位の年配の方がいました。雨が降ると、詩と云うものを読んで聞かしてくれました。レールモントフと云うひとの少女の歌える歌とか云う、

かりする人の鎗に似て

小舟は早くみどりなる

海のおもてを走るなり

と云ったものや、ハイネ、ホイットマン、アイヘンドルフ、ノヴァリス、カアル・ブッセと云った外国の詩を読んでくれました。その外国の人たちがどんな詩を書いていたのか、みんな忘れてしまったけれども、随分心温かでした。生徒はみんなノートしているのに、私だけはノートもしないで、眼をつぶってその詩にききほれたものでした。ビヨルソンの詩とか、プウシキンのうぐいすと云う名前など、綺麗な唄なので覚えています。