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かきのたね
柿の種
寺田 寅彦
線上閱讀寺田 寅彦《柿の種(かきのたね)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 70,202 字 · 139 頁
焦土の中に萌えいずる緑はうれしかった。
崩れ落ちた工場の廃墟に咲き出た、名も知らぬ雑草の花を見た時には思わず涙が出た。(大正十二年十一月、渋柿)
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震災後の十月十五日に酒匂川の仮橋を渡った。
川の岸辺にも川床にも、数限りもない流木が散らばり、引っかかっていた。
それが、大きな樹も小さな灌木も、みんなきれいに樹皮をはがれて裸になって、小枝のもぎ取られた跡は房楊枝のように、またささらのようにそそけ立っていた。
それがまた、半ば泥に埋もれて、脱れ出ようともがいているようなのや、お互いにからみ合い、もつれ合って、最期の苦悶の姿をそのままにとどめているようなのもある。
また、かろうじて橋杭にしがみついて、濁流に押し流されまいと戦っているようなのもある。
上流の谿谷の山崩れのために、生きながら埋められたおびただしい樹木が、豪雨のために洗い流され、押し流されて、ここまで来るうちに、とうとうこんな骸骨のようなものになってしまったのであろう。
被服廠の惨状を見ることを免れた私は、思わぬ所でこの恐ろしい「死骸の磧」を見なければならなかったのである。(大正十二年十二月、渋柿)