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きりゅうつうしん

桐生通信

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《桐生通信(きりゅうつうしん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 16,394 字 · 33 頁

青空文庫

同行の女房は仰天して、

「芸者総あげね。こんなすごいお花見はじめて見た。桐生のダンナ方のことだから、これで千円ぐらいの会費であげてるんでしょうね」

「そんな他国なみの入費をかけるものか。しかし、七百円以下には値切れそうもないが、案外五百円ぐらいかも知れないぜ」

「まさか」

あとでダンナの一人にきいてみると、

「ああ、あの会費、四百円」

★

アンマの家から電話がかかってきた。ウチのアンマはまだそちらですかときく。二時間も前に私の家をでたのだ。盲人のアンマだから私も心配になって、散歩がてら出てみると、パチンコ屋からツエをたよりに出てくるアンマにぶつかった。私もあきれて、

「お前さん、パチンコやるのかい」

「通りすがりにあの音をきくと、ついね」

全然人なみの涼しい返事である。

「今日は何列目の左側の何番がよくでるね」

と私に伝授よろしくゆうゆう御帰館だ。とかくアンマが目アキの口をききたがるのは承知の上だが、実際にパチンコをやるとは知らなかった。

私がこの話を人に物語ると、これがまた意外の衝動をまき起したのである。

「なるほどねえ。アンマは指さきの商売だし、むしろカンだけをたよりにはじくから、これは出るかも知れないね」