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つちのなかからのはなし
桜の森の満開の下
線上閱讀坂口 安吾《桜の森の満開の下(つちのなかからのはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 76,558 字 · 153 頁
今昔物語の作者の批判はつまり農民の側からの批判であり諷刺であろうが、農民自身が自分の姿にこれだけの風刺と愛嬌を添え得ていないのが残念だ。地頭は到るところの土をつかめ、という精神でしぼりとられては農民も笑ってすますわけに行かないが、地頭の方がこうなら、それに対する農民ももとよりそれに対するだけの土をつかむことを忘れてはいないので、当然の供出に対する不平だの隠匿米だのということはあんまり昔の本に書かれていないが、これは昔の本の観点が狂っているからで、今の農村に行われていることが昔なかった筈はない。
農民の歴史はたしかに悲惨な歴史で、今日のように甘やかされたことはなく、悲しい上にも悲しく虐げられてきたのだが、その代り、つけ上らせればいくらでもつけ上る、なぜなら自己反省がなく、自主的に考えたり責任をとる態度が欠けているからで、つまりはそれが農民の類い稀な悲しい定めに対するたくまざる反逆報復の方法でもあったのだろう。なんでも先様次第運命を甘受して、虐げられれば虐げられたように、甘やかされれば甘やかされたで、どっちも底なし、いつでも満ち足りず不平であり、自分は悪くなく、人だけが悪いのである。