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おけはざまのかっせん
桶狭間合戦
菊池 寛
線上閱讀菊池 寛《桶狭間合戦(おけはざまのかっせん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,784 字 · 26 頁
尾張の治黙寺に手習にやられたが、勿論手習なんぞ仕様ともしない。川から鮒を獲って来て蕗の葉で膾を造る位は罪の無い方で、朋輩の弁当を略奪して平げたりした。町を通りながら、栗、柿、瓜をかじり、餅をほおばった。人が嘲けろうが指さそうがお構いなしである。
十六七までは別に遊びはしなかったが、ただ、朝夕馬を馳けさせたり、鷹野を催したり、春から秋にかけて川に飛び込んだりして日を暮して居た。しかし朋友を集めて竹槍をもって戦わしめたりする時に、褒美を先には少く後から多く与へた事や、当時から槍は三間柄が有利であるとの見解を持って居た事や、更に其頃次第に戦陣の間に威力を発揮して来た鉄砲の稽古に熱心であった事などを見ると、筑紫の坊さんの眼識を肯定出来そうである。
この様に何処かに争われない処を見せながらも、その日常は以前と異なる事がなかった。
平手中務政秀は信長のお守役であるが、前々から主信長の行状を気に病んで居た。色々と諫めては見るものの一向に験目がない。その中にある時、政秀の長男に五郎右衛門というのがあって、好い馬を持って居たのを、馬好きの信長見て所望した処、あっさりと断られてしまった。