輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《樅ノ木は残った(もみノきはのこった)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 148,519 字 · 296 頁
主膳は自分の席から、ときどきさりげなく、甲斐のほうを見た。「岩沼どの(主膳)は知っている筈だ」奥山大学が云っていた、「亡き主膳どのは、殉死をするに当って、一ノ関さまの御聡明は、お家のために力づよいことであるが、しかし、あまりに御聡明すぎるのが案じられる、あまりに御聡明であり、あまりにお知恵がまわりすぎる、それがいかにも案じられる、そうではなかったか、岩沼どの」
「そういう意味でした」と主膳が云った。その声も、言葉の調子もよわよわしく、彼はつづけた、「しかしそれほど強い言葉ではなく、明敏でいらっしゃるのは心づよいが、お家のためには案じられるように思われてならない、と申したようにおぼえています」
「同じことだ」と大学は盃の酒を飲んだ。
奥山大学は主膳より若く、そのとき四十六であった。彼は黒川郡吉岡、六千石の館主で、そこは仙台領のうちもっとも肥沃の地であり、したがって勝手向きも豊かであった。彼の性質は傲岸で、みずから直情径行を誇り、いかなるばあいにも、自分で「よし」と信ずることを枉げたためしはなかった。
「同じことです」と大学は云った、「亡き主膳どのは禍根がどこにあるのか、すでにみぬいておられた、私はその証拠を見たのです」