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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《樅ノ木は残った(もみノきはのこった)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 148,519 字 · 296 頁
気温はいつもより低いが、ずっと晴天つづきで、白石川の鰍も肥えた。
数日まえ、山から与五兵衛が来て、山のけものの動きぐあいでは、この冬は雪が多いだろう、ということであった。また百姓たちは、麦の作も例年より豊作になる、と云いあっている。
幕府から国目付が来るので、自分は仙台へいって来た。
到着したのは十一日で、当日は、御一門、御家老、町奉行までが、麻上下で河原町まで出迎え、自分もそれに加わった。宿所へ案内したのは、柴田(内蔵介)どの、富塚(内蔵允)どのであった。
明くる十二日。国目付の招きで、御一門、御一家、御一族が宿所にゆき、国目付から、将軍家墨印、奉書の披露があったが、これには御家老がたは出なかった。
二十二日。奥城二ノ丸において、両目付の饗応があり、自分も接待に出た。御相伴は涌谷(伊達安芸)さま。両目付に随行して来た中里道朔という医者と、兎玉玄程とで、囃の座興があった。宴のあと、両目付を本丸へ案内し、それで饗応は終った。
涌谷さまは二十三日に領地へ帰られ、自分はそれを見送ってから、船岡へ帰った。
お留守はほかに変りもない、奥方はじめ小四郎さまも御息災であるし、万事平穏にいっている。