輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《樅ノ木は残った(もみノきはのこった)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 148,519 字 · 296 頁

青空文庫

二人はそれまでに二度、顔をあわせていた。いちどは綱宗に逼塞の沙汰の出たとき、一度はつい三日まえ、亀千代の家督の礼で、献上品の披露に登城したとき。これは甲斐が正使として、城中の白書院でじかに言葉を交わした。

玄関へ入って来た雅楽頭は、笠と鞭を供の少年に渡しながら、その大きな眼でまっすぐに甲斐を見た。甲斐は膝に手を置いて、静かに低頭し、やはりまっすぐに、だが極めて穏やかな眼つきで、雅楽頭を見あげた。

「あるじか」と雅楽頭が云った、「八十島主計と申すそうだな」

甲斐は黙って目礼した。

「先日は留守にまいって馳走になった、今日はひと馬せめに出た途中で、ふと思いついてたち寄ったのだが」

「ようこそ」と甲斐は会釈した。

そして、どうぞとおるようにと云い、雅楽頭は頷いた。扈従の少年がゆいつけ草履をぬがせると、雅楽頭はあがって、さっさと奥へとおった。座敷には敷物と火鉢が出ていた。雅楽頭は腰から刀を脱しながら、敷物の上にあぐらをかいて坐った。

他の従者は玄関に残ったが、少年はすぐ来て、雅楽頭のうしろに、その刀を捧げて坐った。甲斐はずっとさがって、敬礼をした。雅楽頭はもっと寄れと云った。