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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
線上閱讀橘 外男《橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇(いきふどう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 198,400 字 · 387 頁
もうこわくないわよ! 何かおいしいごちそうでも、こしらえてあげてちょうだいよ」
と、奥のほうへむかって声をかけながら、いままで、ひしかたまっていた夫人の頼子が、どんなによみがえったように、息づきましたことか!
それにつれて、それこそいままで、幽霊でもでそうにまっくらだった台所や、内玄関脇の看護婦部屋にまでもあかりがさして、看護婦たちの笑いごえが、どんなに家のなかをあかるくいろどってきたかということなどは、これももう、いまさらあらためていうまでもないことであろうと思われます。
おまけに、はじめは膝小僧をそろえて窮屈そうにかしこまっていたこの連中も、やがてお酒がでて、すき腹にそれがだんだんしみこんでくるにしたがって、そこはもともと浜辺そだちのあらくれ男たちですから、腕がムズムズしてきたのでしょう。今夜はひとつおれたちが、寝ずの番の交替でひと晩中庭に張り番をして、その猫の化物たらいうもんに、お目にかからにゃなんねえだ、というさわぎでした。
なんのなんの、八と俺らと与助の三人で、ひとりずつ交替に庭をあるきまわって、化物の畜生でてきやがったら、はり殺してしまうでさァとハリ切っている三人をなだめて、ともかくおまえたちは知るまいが、あの猛犬の五郎丸でさえ、あんなにズタズタにひきさいてしまうほどのするどい爪のもち主なの