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きかんしゃ

機関車

佐左木 俊郎

線上閱讀佐左木 俊郎《機関車(きかんしゃ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 5,808 字 · 12 頁

青空文庫

それをわざわざ訪ねて来て、身体を大切にするようにといって金まで置いて行ってくれたのだ。そしていつものように泊まって行ったのだ。

彼女は泣けて仕方がなくなって来た。

彼女は、一番の列車を牽いて帰って行く、吉田の、後ろ姿だけでも見送りたいと思った。彼女はふらふらと線路の方へ出て行った。

九

機関車が、非常汽笛を鳴らして靄の中に停車した。

「靄で、ちっとも見えやしねえんだもの。」

機関手が呟きながら降りて行った。助手の火夫が続いて飛び降りた。

「轢いたんじゃないか?」

車掌が駈けつけて来た。

「女だな。手に何か持っているじゃないか?」

腰から切断された胴体の手が、何か手紙のようなものを握っていた。それには「吉田機関手様」と書かれていた。

「吉田機関手って、馘首になった吉田のことかな?」

「だって、他にいないですね。」

そこへ四五人の乗客が客車から出て来た。四五人きり乗っていなかったのだ。その中に背広を着た吉田が混じっていた。

「青木! 轢いたな。」

吉田は歩み寄りながらいった。

「おう! 吉田君。君これに乗っていたんだね? これ、君に宛てたのらしいんだが……」