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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
線上閱讀下村 湖人《次郎物語(じろうものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,443 字 · 398 頁
」
「ええ、はじめのうちは、いつもこんなふうですよ。五分や七分はたいていおくれます。」
「すると、起こしてまわるほうが早いですかね。」
「そうかもしれません。しかし、それはやらないほうがいいでしょう。板木で起きる約束をしたんですから。」
「じゃあ、やはり打ちつづけるよりほかありませんね。」
「打ちやめると、それでかえって起きることもありますがね。」
「なるほど。……ふん。……そういうものですかね。……あるいはそうかもしれない。」
大河は、ひとりごとのように、そう言いながら、やはり打ちやめなかった。そして、相変わらず板木に眼をすえ、
「ぼくたち、学生時代の学寮生活を自治だなんていって、いばっていたものですが、本気にやろうとすると、実際むずかしいものですね。」
「ええ、結局は一人一人の問題じゃないでしょうか。」
「ぼくもそうだと思います。命令者に依頼する代わりに、多数の力に依頼するんでは、自治とは言えませんからね。」
次郎は大河の横顔を見つめて、ちょっとの間だまりこんでいたが、ふと、何か思いついたように、
「ちょっとぼくに打たしてみてください。」
大河は板木を打ちやめ、けげんそうに次郎のほうをふり向いて槌をわたした。