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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
線上閱讀下村 湖人《次郎物語(じろうものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,443 字 · 398 頁
「この方は、塾長先生の奥さんです。期間中は、あなた方のお母さん代わりをしていただく方なんです。」
それをいう時のかれの顔はいかにも晴れやかで、得意そうだった。朝倉夫人は、
「よくいらっしゃいました。おつかれでしょう。」
と印刷物を渡しながら、ひとりひとりに笑顔を見せるのだったが、青年たちのつかれた顔は、夫人の聡明で愛情にみちた眼に出っくわすと、おどろきとも喜びともつかぬ表情で急に生き生きとなるのだった。次郎にとっては、青年たちのそうした表情の変化を見るのが、受付をする時の一つの大きな楽しみになっていたのである。
到着は午後四時までとなっていたが、その時刻までに、予定されていただけの顔が、全部異状なくそろった。みんなは、ひとまず広間に待たされ、受付が全部おわったところで各室に割りあてられた。総員四十八名、一室六名ずつの八室でちょうどであった。
朝倉夫人と次郎とは、みんなを各室におちつけてしまうと、事務室のストーヴにあたりながら、あらためて塾生名簿に眼をとおした。これは二人のいつもの習慣で、めいめいに、受付の際に自分の印象に残った青年たちの顔を、その中からさがすためであった。