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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
線上閱讀下村 湖人《次郎物語(じろうものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 200,443 字 · 398 頁
まい、という気がして、いくぶん緊張をゆるめていた。
しかし、中佐のそんな調子は三分とはつづかなかった。かれはやがて世界の大勢を説き、日本の生命線を論じた。そしてその結論としての国民の覚悟について述べだしたが、もうそのころには、かれはかなり狂気じみた煽動演説家になっていた。さらに進んで青年の修養を論ずる段になると、かれの佩剣の鞘が、たえ間なく演壇の床板をついて、勇ましい言葉の爆発に伴奏の役割をつとめた。かれはしばしば「陛下」とか「大御心」という言葉を口にしたが、その時だけは直立不動の姿勢になり、声の調子もいくぶん落ちつくのだった。しかし、佩剣の伴奏がもっとも激しくなるのは、いつもその直後だったのである。
かれの意図が、塾の精神を徹底的にたたきつけるにあったことは、もうむろん疑う余地がなかった。かれは、しかし、真正面から「友愛塾の精神がまちがっている」とは、さすがに言わなかった。かれはたくみに、――おそらく、かれ自身のつもりでは、きわめてたくみに、――一般論をやった。そして、なおいっそうたくみに、――もっとも、この場合は、かれ自身としては、たくらんだつもりではなく、かれの信念の自然の発露であったかもしれないが、――「国体」