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うたのえんじゃくするとき

歌の円寂する時

折口 信夫

線上閱讀折口 信夫《歌の円寂する時(うたのえんじゃくするとき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,623 字 · 28 頁

青空文庫

だから発生的に、性欲恋愛の気分を離れることが出来ない。奈良朝になっても、そうした意味の贈答を主として居た為、兄妹・姉妹・姑姪の相聞往来にも、恋愛気分の豊かなものを含めた短歌が用いられている。其引き続きとして、平安朝の始めに、律文学の基本形式として用いられる様になり、民謡から段々遠くなって来ても、やはり恋愛気分は持ち続けられた。そう言う長い歴史が、短歌を宿命的に抒情詩とした。だから、抒情詩として作られたものでなくとも、抒情気分を脱却することが出来ないのである。此例からも叙景・抒情融合の姿の説明はつく。性霊を写すと言う処まで進んだ「アララギ」の写生説も、此短歌の本質的な主観纏綿の事情に基くところが多いのである。

短歌と近代詩と

短歌は、万葉を見ても、奈良の盛期の大伴旅人・山上憶良あたりにも、既に古典としての待遇を受けている。旅人の子家持の作物になると、一層古典復活の趣きが著しく見える。其点からも、短歌に於ける抒情分子の存在が、必須条件となって居た理由を考えることが出来る。古典としての短歌は、恋愛気分が約束として含まれていなければならなかったのである。