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しょうそういんてんをみる
正倉院展を観る
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《正倉院展を観る(しょうそういんてんをみる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 2,641 字 · 6 頁
もひとつの向日葵のような大きな強いもようの方には古いアジアが反射している。
ほかの専門家がいうだろうから私はなるべく目につかない物を拾おう。
ふと見のがしやすいが薬種の部に、蜜がある。唐朝輸入品で蜂蜜を固形したものだ、なめてみるわけにはゆかないが、これはきっと甘いはずだ。工芸にも使われたが、現代のローヤルゼリーのような栄養補強にも愛用されていたのではあるまいか。矢を入れる矢入れ、手箱、薬種の草根をつつんだ編み物、そのほか注意してみると、蔦や葛や紙やいろんな材料で編んだ物がかなりあった。女子の技芸の上達を祈る七夕まつりの赤糸や針も出ていた。それらをみると日本の庶民の指先のすぐれていたことが信じられる。いじらしいほどみな繊細で美しい。こんな自然で高尚な天性の技はいまどこへいってしまったのか。
竹製のハジキ弓にもおなじ感をおぼえた。竹の削ぎ肌になんともいえない稜線と神経がとおっている。やれ古伊賀のヘラだの光悦茶碗のケズリがどうのといっても、しょせん、これからみれば末期の一歩てまえのものだ。さらには、この半弓は遊戯の具だから、これの工人もこの中でうんと遊んでいるのだった。