輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ぶしゅうこうひわ

武州公秘話

谷崎 潤一郎

線上閱讀谷崎 潤一郎《武州公秘話(ぶしゅうこうひわ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 107,572 字 · 209 頁

青空文庫

「あゝ、それはよいことでございます、是非聞かせて下さいましな」

松雪院は、いつになく真顔になった夫の様子に、凜々しい勇士の面目を認めたような気がして、思わず容を改めながら云った。

「女は戦場には出ないでもよい、だが、籠城の時はそれ相応に女の仕事があるものだよ」

―――河内介はそう云って、天文十八年の秋、自分が十三歳の折に経験した牡鹿山の籠城のことから説きはじめて、

「たとえば首装束と云うものがあってね、―――」

と、次第に話をあの屋根裏の光景へ持って行った。そして、首の洗い方、髪の結い方、首札の附け方等を、細かに説明するのであった。夫人の外に、座に侍っていた四五人の腰元共も皆熱心に耳を傾けて、じっと河内介の口元を見守りながら聴いているうちに、河内介の方もだん/\聴き手に釣り込まれて油が乗って来るらしかった。今夜のように、彼がじっくりと落ち着いて物語ることは稀であったが、そうして静かに述べ出して来ると、彼の弁舌には不思議に沈痛な力があり、一語々々に、厳粛な、犯し難い重みが籠っていた。おまけに彼は、いつの間にそんな修行を積んだのであろうか、頗る巧妙な話術を以て、その屋根裏で目撃した数々の首の種類、表情、皮膚の色、血痕、臭気に至るまでを、まざ/\と目に浮かぶが如く言葉で描写するのであった。