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ぶそうせるしがい

武装せる市街

黒島 伝治

線上閱讀黒島 伝治《武装せる市街(ぶそうせるしがい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,959 字 · 234 頁

青空文庫

意見を開陳することは許されなかった。末永中尉は軍曹に命令した。軍曹は兵卒に命令した。土嚢塁は、四重の鉄条網をひッぺがしてやりかえられだした。

「もっと、もっと、ここまでのばせ!」

末永中尉は、やかまし屋の阪西の顔色を伺いながら、目じるしに、大地へ靴で疵をつけた。この一角を特別に堅牢にすれば、堅牢でない他の部分に敵の攻撃力は集中されるだろう。そして、そこが崩壊するのだ。と彼は考えていた。

「土は、ここから取れッ! そのアカシヤは邪魔ものだ。折ッちまえ! チェッ! その拒馬は、こっちへ持って来る。」彼は、自分の考えは、おくびにも出さず、兵卒に指揮をつゞけた。「……もっと、もっと、円匙と、つるはしを持って来い。出来ていないのはここだけだぞ! おそい! 振角伍長! そう、そんなことをしていないで!」

青年訓練所を出た奴が、一年六カ月で、帰休になると喜んでいた。それが出兵で、帰休は無期延期だ。べそをかいた、その連中が、中尉の叱るような命令に、はい/\して、セッセと働いた。働き振りが目立った。

償勤兵の高取は苦笑をしていた。柿本は、普通にやった。

「そうだ、この倉矢や、衣笠などの働き振りをみんな見習え! 十分鶴嘴に力を入れて!」