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ぶそうせるしがい
武装せる市街
黒島 伝治
線上閱讀黒島 伝治《武装せる市街(ぶそうせるしがい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,959 字 · 234 頁
兵士たちは、おとなしくそれをきいた。が、二三日たつと、又、作業場や、支那街を物ずきにほっついた。言葉は分らなかった。眼と眼が語りあった。顔と眼が感情を表現した。
将校との対立は、いつとはなしに深くなっていた。上陸前に工藤が片づけられている。それが一層将校に近づき難い感じを与えた。それが、目前のカタキだ。
入浴も、飯も、勤務時間も、休む寝床も、はッきりと区別がついていた。兵士は麦飯だ。将校は米だった。苦楽を共にするのは兵士たちの間だけに於けることだ。彼らは、久しく入浴しなかった。将校は、毎日、製氷公司で風呂を立てゝいた。製氷公司の社員からビールや、菓子や、お茶を御馳走されて、牛のよだれのような長話をつゞけていた。兵士たちは、あとから、あいたら這入ろうと思っても、牛のよだれが長くって、はいるひまがなかった。彼等がはいれる頃には、もう晩がおそくなりすぎていた。
ある時、上衣を紛失した上川が、ぬれ手拭をさげ、風呂からあがりたての、桜色の皮膚で帰って来た。こっそり、おさきに這入ってきたのだ。愉快がった。
「製氷会社の奥さんは、金すじが光っとったって、光っていなくたって、何も区別をつけやしないんだ。