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ぶそうせるしがい
武装せる市街
黒島 伝治
線上閱讀黒島 伝治《武装せる市街(ぶそうせるしがい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,959 字 · 234 頁
」親爺は四五年前から中津を知っていた。
だが、幹太郎の疑問は誤っていなかった。
チンバがやって来ると、おかしがって、家の中をはねとんでいたすゞが、門の外から王を呼ぶ中津の巾のある押しつけるような声に、耳の根まで真紅に染め、どこかへ逃げかくれだした。
中津の視線は、鋭く、燃えさかっていた。その視線に出会すと二十のすゞが堪えきれないばかりでなく、俊や、おふくろまでが、心臓をドキリと打たれた。
中津はひげ面のひげを青く剃り、稍々ちゞれる癖のある、ほこりをかむった渦まける髪をきれいに梳って、油の臭いをプンプンさしていた。
終日家につかっていた。この馬賊上りの、殺人、強盗、強姦など、あらゆる罪悪を平気でやってのけた鬚づらの豪の者が、娘々したすゞに少なからず参っている有様は、実際不思議だった。彼は五十三の老人とは見えなかった。彼は、おぼこい二十歳の青年のように、少女の魅力に悩まされ切っているところがあった。
ある朝、馬貫之の犬の『白白』が火のついたように吠えた。
幹太郎は、それで眼をさました。すゞが起きかけたようだった。
犬は燃えるようなやかましさで吠えつゞけていた。