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しとかげ
死と影
線上閱讀坂口 安吾《死と影(しとかげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 5,160 字 · 11 頁
ボロ/\のユカタをきて、尻をハショッて、ワラジをはいていた。それが彼の防空服装であった。戦争中も新橋のコップ酒屋に優先行列していたようだが、酒の乏しさに、疲労している様子であった。これが三平に会った最後で、終戦前後に死んだ由である。
三平は女ギライであった。酔ったあとに、私が女を買いに行こうとすると、女は不潔じゃないですか、とブツブツこぼしながら、諦めて私と別れるのであった。
「先生、旅にでようよ」
三平は、しきりに私を旅に誘った。真剣な眼つきであった。
「一文も、金はいらないよ。オレは、なんべんも、旅にでたんだ。村々の木賃宿に泊るんだ。オレが、役場や、学校や、会社を廻って、似顔絵をかいてくるからネ。東京は、不潔だよ。物質慾、物をもつ根性が、オレはキライなんだ。女をもつのも、金をもつのも、着物をもつのも、オレはキライだ。旅にでると、オレの言うことが、わかるよ。先生は、まだ、とらわれているんだ。オレみたいな、才能のない奴が、何を分ったって、ダメなんだ。先生に分って、そして、書いてもらいたいんだ。旅にでれば、必ず、わかる。人間の、ふるさとがネ、オヤジもオフクロもウソなんだ、そんなケチなもんじゃないんだ、人間には、ふるさとが有るんだ。