輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しとはなししたひと

死と話した人

小川 未明

線上閱讀小川 未明《死と話した人(しとはなししたひと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 2,429 字 · 5 頁

青空文庫

このとき、Aの胸はどきどきしました。幻を見ているわけではあるまいと、自分の心に問うてみたのです。

「あ!」と、彼は、思わず叫びをあげた。

「かま……?」

そのかまは、大きく、鋭く、そして、三日月のように細いのを、大男は、右手に握っていたからです。

「死だ! 死だ!」Aは、口のうちでささやきながら、急いで、きた道をもどると、中途から、人家の見える村をさして、駆け出したのであります。

*   *   *   *   *

沿海線に沿うて、レールが走っていました。小高い丘の上に、停車場があって、待合室は風に吹きさらしになっています。

Aは、段を上がって、待合室にはいると、がらんとして、人影はなく、ただ一人、黒い服装をした外国のおばあさんが、ベンチに腰をおろして、下を向いて、なにかしていました。

「どこの国のおばあさんだろう。故国は、遠いにちがいないが、いま、どんな気持ちで、ここにきて、なにをしているのだろうか?」と、そんなことを思いながら、彼女を驚かさないように近づいたのでした。

雲をもれて、おりおり、見渡すかぎりの自然の上へ、太陽の光線は、虎斑のようなしまめを描いています。