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しまでをかたる

死までを語る

直木 三十五

線上閱讀直木 三十五《死までを語る(しまでをかたる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 42,739 字 · 85 頁

青空文庫

と味噌を、余分に入れさせたり――そして、多分、私が弟を背負って、そうして、大抵毎日買って歩いているのが商人達に、記憶されたらしく、それから又、憐れまれたらしく――私等兄弟より外に十歳位で、そんな所へ、惣菜を買いに行く奴はいなかったらしく

「まけといたるで」

と、鰻屋が、八幡巻を一本添えてくれた事があるし、牛肉屋が

「葱もおまけや」

と、添え物の葱を一つかみくれた事もあった。そして、そういう日は、私は得意で

「まけてくれよった」

と、自慢した。この惣菜買いは、それから後中学へ行っても続いていた。

所が、困った事に、鰻の頭や、葱のしっぽだけでは、大して手助けにならぬし、小僧を置くような資力はなく、私が、惣菜買いの上手を見込まれて、今度は、父と共に、古着の包を背負って、歩かなければならなくなった。

鑑札が、正面の柱にかかっていたが、それには「古物商」と書いてあった。古い物なら、何んでも買うのである。父は、着物の外に、金物や、道具の類は、少しも判らないが、それでは、商売にならないから、わかったような顔をしていた。そして、鉄瓶を買ってきたり、箪笥を買ってきたりしたが、それを値踏みするのは、いつも、近所の、岡本という古着屋の人であった。