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ひとうとうこうき

比島投降記

石川 欣一

線上閱讀石川 欣一《比島投降記(ひとうとうこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 68,333 字 · 134 頁

青空文庫

ものばかりである。「どうも、これを訳すことは困るが……」というと、Fは自分が決して単なる好奇心から、翻訳をたのむのではないと、前置きして、次のように語った。

Fの細君はロスアンゼルスで図書館の司書をしている。その図書館には、前大戦中米国で製作されたポスターが、無数に集めてあり、現在から見ると、戦争中の国民は、こんなプロパガンダに踊らされたのかと思うようなのもある。だから日本のこのパンフレットの中に、いかに馬鹿げきった漫画があろうとも、それを恥じる必要は絶対にない。のみならず、この中には、国民に元気をつける意図で書かれたに違いないが、すこし考える人から見れば、戦慄すべき事実としか受取れぬものさえ含まれている。例えば――といって、Fは一枚の漫画を示した。国民学校卒業生の何百万人だかが、校門から直接工場へ、列をくんで入って行く画であり、上にローマ数字でその総数が示してある――「例えばこの漫画だ。下に書いてある日本語は自分には分らないが、この建物は学校らしく、このチムネーがいくつか出ている建物は、工場に違いない。こんな子供が工場で働かねばならぬとは、米国では夢想だにも出来ぬことであり、日本がいかにマン・パワーの不足に苦しんでいるかを何よりもよく示している。