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ひょうがきのかいじん
氷河期の怪人
海野 十三
線上閱讀海野 十三《氷河期の怪人(ひょうがきのかいじん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,321 字 · 15 頁
「先生、夜が明けてきました」
博士は、横の座席で、これも毛布をうんとからだにまきつけ、だるまさんのようなかっこうになってねむっているようであった。
「先生、先生!」
道彦は、博士をよんだ。しかし博士は、それにこたえなかった。
道彦は、立ちあがって、博士をゆりおこしにかかった。だがそれはむだであった。博士は、こんこんとしてねむっていた。
「……もしや、先生は、死にかかっていられるのではないかしら。そうだとすると、だれかをよんで、なんとかして助けなくては……」
道彦は、明かるくなった機内を見まわしたが、ふしぎにも、博士のほかにはだれもいなかった。
「みんな、どうしたのであろうか」
彼は、通路をあるいていった。通路の正面の扉があいている。そこを入ると、戸口が見える。その戸口もあいていた。そして、あけかかった空を背にして、雪山がひどくかたむいていた戸口までいくと、はっきり事情がわかった。なるほど、ヤヨイ号は、かたい雪の斜面に、ななめにかしいだまま、腹ばいになっているのであった。左の翼が、根もとから、もぎとられている。機首は雪の中につっこんでいた。
道彦はびっくりしたが、しいて気をおちつけ、雪のうえに下りた。