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えどまえのつり

江戸前の釣り

三遊亭 金馬

線上閱讀三遊亭 金馬《江戸前の釣り(えどまえのつり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 106,910 字 · 214 頁

青空文庫

「四方の山々雪解けて 水かさまさる大川の あげ潮南で ドブンドブンと打ち寄せる波の音…」

といってやっているが、雪解けは春先である。

秋の道具ひととおりそろっている夕暮れに、雪解けはおかしい。これは落語の種明かしであるが、そもそもこの落語をこしらえた人は、二代目林屋正蔵という坊さんの出で、俗にタクゼン正蔵といい、仏教普及のためにはなし家になったという変わり種。『コンニャク問答』もこの人の作であるが(そのもとは唐の『笑府』から取ったもの)、坊さんの出であるだけに魚釣りのことはよく知らない。それを受けついだ先輩も釣りをしない。おもしろい叙情詩として、「四方の山々……」をやっている。

第一、手向けの句が、

「野を肥やす骨を形見のすすきかな」

といっているが、句にあかるい先輩から、

「月浮かぶ水を手向けの隅田川」

が正しい、と教えてもらった。ぼくはそのとおり直してやっている。

その不自然を、お客さまがハゼ不思議だなと思わず、気づかないようならば、お客はそのはなし家の麻酔にかかっているわけだ。落語は、研究会以外、屁理屈は禁物であるが、「四方の山々……」の言葉がでないでも、おもしろくはなされれば、それにこしたことはない。