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えどまえのつり
江戸前の釣り
三遊亭 金馬
線上閱讀三遊亭 金馬《江戸前の釣り(えどまえのつり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 106,910 字 · 214 頁
との手紙をもらって、そのときも、酒とウナギに釣られて出かけて行った。
なるほど、土地に名代の醸造家がある。夜は大勢集めて一席やって、そのお礼に酒とウイスキーをもらい、ウナギは置き針でとれた百匁という大串を魚屋にさかせて、ミリンと醤油半々の手製のかば焼き。夕方、川におりて、蚊針の瀬釣りでヤマベの大釣りをやったあとだけに、その晩はぐでんぐでんに酔って寝てしまったが、真夜中、清水が空襲にあっているという。表に出てみると川下がまっか。これは人ごとではないというわけで、あわてて翌日帰ってきた。
三十三年の伊豆の大洪水で、嵯峨沢あたりの川相もずいぶん変わったことだろうと思う。洪水のあとにはまだ行ってみないが、戦争後に八月のひと月間、吉奈、月ヶ瀬、嵯峨沢から湯ヶ島、猫越川と、ヤマメやハヤを釣って歩いた。
「嵯峨沢館」の主人は、銃猟と魚釣りもやる。軍隊出のインテリで、天城山で撃ちとったという鹿や熊の皮が戸板に張って干してあり、山クジラ、ロクなべもときどきサービスに食わせてくれた。八月は土用隠れというのか、アユのドブ釣りはぼくには苦手で、一緒に前の川にはいって友釣りも教えてくれたが、腰まで立ち込んでオカンをするのは、あとでからだにさわるようで、どうも気がすすまない。