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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《江戸情話集(かごつるべ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 203,779 字 · 407 頁
その場はすなおに得心して出たが、栄之丞もまだ若かった。事にこそよれ、兄妹がぐるになって二十両の金を掠めたと疑われているらしいのが、どう考えても不快で堪まらなかった。堀田原を出て、途々でもいろいろに考えたが、やはり一応は主人に逢って自分たちの潔白を証明して置く方がいい。それが妹の後来のためであるとも考えたので、彼は堀田原の主人の意見にそむいて橋場の寮へ足を向けた。
案内を乞うと、お光が取次ぎに出て来た。
「兄さま。いいところへ……。もう少し前からお店の旦那さまがお出でになりまして……」
「そうか。それは丁度いい。兄がまいりましたと取次いでくれ」
「あの、旦那さまが……」と、お光は少し言い渋っているらしかった。
「旦那がどうした」
「わたくしに暇を出すようにと、お内儀さんに言っているようで……」
お光の声は陰って、その眼にはもういっぱい涙を溜めていた。
「なに、お前に暇を出す……」
栄之丞も赫となった。妹に暇をくれるという以上は、やはり我々を疑っていると見える。奇怪至極のことである。いよいよ打っちゃっては置かれないと思った。
「それならば猶更のことだ。早く主人に逢わせてくれ」