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さばくのびき

沙漠の美姫

国枝 史郎

線上閱讀国枝 史郎《沙漠の美姫(さばくのびき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 6,658 字 · 14 頁

青空文庫

「要点? こうと、では書こう」

明妃去時涙。洒向枝上花。……

「左様なら」

と私は欧陽修を見棄てて黄庭堅の邸へ突進した。

「君は王昭君をどう思うね?」

すると黄庭堅も筆を握ったので私は急いで注意をした。

「君、なるだけ短い所をね」

「え?」

と黄庭堅はききかえしたが、

「なんだね、一体、短い所をというのは?」

「いずれは君も詩を書くんだろう?」

「これは驚いた、よく知ってるね」

「君を入れてこれで四人になるの。詩には、さっきから退屈しているのだ。……が、どうしても書くというのなら要点ばかりをお願いしよう」

「要点? こうと、では書こう」

戎王半酵酔擁貂裘。昭君猶抱琵琶泣。

「……という所が要点なのだが」

「左様なら」

と私は黄庭堅を無視して、邸から一散に走り出た。

「もう大概この辺でよかろう。他の詩人は訪ねまい。同じようなことばかりをいうのだろうから」

×

王昭君のお伽衆として、私が胡地へ旅立ったのは、元帝の竟寧元年であった。

騎馬に乗った呼韓邪単于と、白馬に乗った王昭君と、同じような白馬ではあったけれど、やや貧弱な白馬に乗ったK、即ち私とを廻って、纛だの旗だの盾だの仏狼機だの、弓だの、弩だの剣だの戈だの、槍だの、鉞だの斧だの瓢石だのの、無数の武器が渦まいていた。