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かはくれいじょう
河伯令嬢
泉 鏡花
線上閱讀泉 鏡花《河伯令嬢(かはくれいじょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 33,763 字 · 68 頁
その大海へ出る頃から、(波やや高く、風加わり、忽ち霧しぶき立つと見れば、船頭たち、驚破白山より下すとて、巻落す帆の、軋む音骨を裂く。唯一人おわしたる、いずくの里の女性やらむ、髪高等に結いなして、姿も、いうにやさしきが、いと様子あしく打悩み、白芥子の一重の散らむず風情。……
むかし義経卿をはじめ、十三人の山伏の、鰐の口の安宅をのがれ、倶利伽羅の竜の背を越えて、四十八瀬に日を数えつつ、直江の津のぬしなき舟、朝の嵐に漾って、佐渡の島にも留まらず、白山の嶽の風の激しさに、能登国珠洲ヶ岬へ吹はなされたまいし時、いま一度陸にうけて、ともかくもなさせ給えとて、北の方、紅の袴に、唐のかがみを取添えて、八大竜王に参らせらると、つたえ聞く、その面影も目のあたり。)……とこの趣が書いてあります。
――佐渡にも留めず、吹放った、それは外海。この紀事の七尾湾も一手の風に※を飛ばす、霊山の威を思うとともに、いまも吹きしむ思がして、――大笹の夜の宿に、ゾッと寒くなりました。それだのに掻巻を刎ねて、写本を持ったなり、起直ったんです、私は……」
小山夏吉の眉に、陰が翳した。
「……紀行に、前申した、川裳明神縁起とあるのでしょう。