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かはくれいじょう

河伯令嬢

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《河伯令嬢(かはくれいじょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 33,763 字 · 68 頁

青空文庫

「――瓜を食って生きている――」

いま芸術を論ずる場合ではないのだから、渠の手腕についてはあえて話すまい。が、その作品のうちで、瓜――甜瓜が讃美される。露骨に言えば、しきりに註文され、よく売れる。思うままの地金を使って、実物の大さ、姫瓜、烏瓜ぐらいなのから、小さなのは蚕豆なるまで、品には、床の置もの、香炉、香合、釣香炉、手奩の類。黄金の無垢で、簪の玉を彫んだのもある。地金は多くは銀だが、青銅も、朧銀も、烏金も……真黒な瓜も面白い。皆、甜瓜を二つに割って、印籠づくりの立上り霊妙に、その実と、蓋とが、すっと風を吸って、ぴたりと合って、むくりと一個、瓜が据る。肉取り、平象嵌、毛彫、浮彫、筋彫、石め、鏨は自由だから、蔓も、葉も、あるいは花もこれに添う。玉の露も鏤む。

いずれも打出しもので、中はつぎのないくりぬきを、表の金質に好配して、黄金また銀の薄金を覆輪に取って、しっくりと張るのだが、朱肉入、驕った印章入、宝玉の手奩にも、また巻煙草入にも、使う人の勝手で異議はない。灰皿にも用いよう。が希くば、竜涎、蘆薈、留奇の名香。緑玉、真珠、紅玉を装らせたい。某国――公使の、その一品を贈ものに使ってから、相伝えて、外国の註文が少くない。