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かはくれいじょう

河伯令嬢

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《河伯令嬢(かはくれいじょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 33,763 字 · 68 頁

青空文庫

殊に、佳い女、と思うほど、ここにうそうそ居て、この顔が見えよう。覗くのさえ気がさしますから、思切って、村はずれの田畝まで、一息に離れました。

蛙がよく鳴いています。その水田の方へ、畷へ切れて、蛙が、中でも、ことこところころ、よく鳴頻ってる田のへりへ腰を落し、ゆっくり煙草を吹かして、まずあの南天老人を極めました。

――しばらくして、ここを、二人ばかり人が通る。……屋台を崩して、衣装葛籠らしいのと一所に、荷車に積んで、三人で、それは畷の本道を行きます。太神楽も、なかなか大仕掛なものですな。私の居た畷へ入って来たその二人は、紋着のと、セルの袴で。……田畝の向うに一村藁屋が並んでいる、そこへ捷径をする、……先乗とか云うんでしょう。

私は、笑いながら、

(お寺の、美人はいかがでした。)

対手が道化ものだから、このくらいな事は可い、と思った。

(別嬪? お寺に。)

とセルが言うと、

(弁天様があるのかね。)

と紋着が生真面目です。

私はまごついた。

(いいや、和尚の、かみさんだか、……何ですかね。)

(ははは、御串戯もんだ。)

(別嬪が居て御覧じろ、米一升のかわりに引攫っちまう。