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かはくれいじょう

河伯令嬢

泉 鏡花

線上閱讀泉 鏡花《河伯令嬢(かはくれいじょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 33,763 字 · 68 頁

青空文庫

)

御廚子の前に、深く蝋燭を点じ、捧げて後、女は紅の総に手を掛けた。燈をうけると、その姿は濃くなった。

(よく出来ていますこと。)

(ああ、そうして取れますか。)

自分の顔の蒼くなるまで、女のさしのばした雪白の腕に、やや差寄って言いました。

(畠のだと、貴方の方が取るのがお上手でしょうけれど……)

微笑する。

(ええ。)

(これは、この蔓の結びめで解けます。私なぞも、真似をして拵えましたから存じております。――まあ、貴女が。)

と云って、廚子を拝んで、

(お気にめして、時々お持ち遊ばすそうで、ちっとも埃がついていません。――あすこへ……明るい処へ参りましょう。お仕事の事で御覧になりますなら、その方がよく見えます。)

消えるようになって、すらすらと出ました、障子際へ。明けると、荒れたが、庭づくりで、石の崩れた、古い大な池が、すぐこの濡縁に近く、蓮は浮葉を敷き、杜若は葉がくれに咲いている。……御堂の外格子――あの、前刻階から差覗いた処はただ、黒髪の暗い簾だったんですがな。

(どうぞ、貴女が明けて――お見せ下さい。)

さし向った、その膝に近づきました。

(お菓子でしょうか、よく合っておりますこと。