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かはくれいじょう
河伯令嬢
泉 鏡花
線上閱讀泉 鏡花《河伯令嬢(かはくれいじょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 33,763 字 · 68 頁
……ただ松の下で、行李を解いて、雨合羽を引絡ううちも、袖を絞ったというのですが。――これは、可心法師が、末森の古戦場――今浜から、所口(七尾)を目的に、高畑をさして行く途中です。
何でもその頃は、芭蕉の流れを汲むものが、奥の細道を辿るのは、エルサレムの宮殿、近代の学者たちの洋行で、奥州めぐりを済まさないと、一人前の宗匠とは言われない。加賀近国では、よし、それまでになくても、内外能登の浦づたいをしないと、幅が利かなかったらしいのです。今からだと夢のようです。
はじめ、河北潟を渡って――可心は、あの湖を舟で渡った。――高松で一夜宿、国境になりますな。それから末松の方へ、能登浦、第一歩の草鞋を踏むと、すぐその浜に、北海へ灌ぐ川尻が三筋あって、渡船がない。橋はもとよりで、土地のものは瀬に馴れて、勘で渉るから埒が明く。勿論、深くはない、が底に夥多しく藻が茂って、これに足を搦まれて時々旅人が溺れるので。――可心は馬を雇って、びくびくもので渉ったが、その第三の川は、最も海に近いだけに、ゆるい流も、押し寄せる荒海の波と相争って、煽られ、揉まるる水草は、たちまち、馬腹に怪しき雲の湧くありさま。