輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
うたかたのき
泡沫の記
久生 十蘭
線上閱讀久生 十蘭《泡沫の記(うたかたのき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,889 字 · 26 頁
といい、馬車の窓越しに五分ばかり楽しそうに話をしていた。
王がその生涯を終るまで、長期の滞在をすることになった「山の城」では、宮内秘書官のクルークが万端の用意をして待っていた。午後四時、山の城に着くなり、王はグッデン博士を連れて、一時間ほど湖畔を散歩した。
翌十三日の正午も同様のことがあり、前日より以上に機嫌よく散歩を終った。
王の食事は、この十年間そうであったように、山の城でも、陪食なしで、一人で居間ですました。ナイフ、フォーク、その他、いささかでも傷害のおそれのあるものには、あらゆる危険を予想して適当な処置を施し、なお居間の扉に覗穴をつくってあったので、王にさとられずに、外部から、逐一、監視することができた。
午後六時四十五分頃、王はグッデン博士を誘って、また散歩に出た。附添のミュラー教授は、なにかしら危惧の念を感じ、こっそり二人を尾行したが、グッデン博士が気づき、王が感情を害すという理由で、追従することを中止させた。
王の夕食は、八時の規定になっていたが、時間をすぎても二人が帰って来ない。ミュラー教授は急に不安になって、公園巡視の憲兵に侍僕を一人つけて探しにやったが、いっこうに消息が知れない。