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ちゅうもんのおおいりょうりてん

注文の多い料理店

宮沢 賢治

線上閱讀宮沢 賢治《注文の多い料理店(ちゅうもんのおおいりょうりてん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 106,269 字 · 223 頁

青空文庫

すると俄に頭の上で、

「いやいや、それはならん。」というはっきりした厳かな声がしました。

見るとそれは、銀の冠をかぶった岩手山でした。盗森の黒い男は、頭をかかえて地に倒れました。

岩手山はしずかに云いました。

「ぬすとはたしかに盗森に相違ない。おれはあけがた、東の空のひかりと、西の月のあかりとで、たしかにそれを見届けた。しかしみんなももう帰ってよかろう。粟はきっと返させよう。だから悪く思わんで置け。一体盗森は、じぶんで粟餅をこさえて見たくてたまらなかったのだ。それで粟も盗んで来たのだ。はっはっは。」

そして岩手山は、またすましてそらを向きました。男はもうその辺に見えませんでした。

みんなはあっけにとられてがやがや家に帰って見ましたら、粟はちゃんと納屋に戻っていました。そこでみんなは、笑って粟もちをこしらえて、四つの森に持って行きました。

中でもぬすと森には、いちばんたくさん持って行きました。その代り少し砂がはいっていたそうですが、それはどうも仕方なかったことでしょう。

さてそれから森もすっかりみんなの友だちでした。そして毎年、冬のはじめにはきっと粟餅を貰いました。