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〔『しなしそうとにほん』しょはん〕まえがき
津田左右吉歴史論集
津田 左右吉
線上閱讀津田 左右吉《津田左右吉歴史論集(〔『しなしそうとにほん』しょはん〕まえがき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 79,004 字 · 156 頁
シュヴェグラアの『哲学史』のイギリス語訳をほねをおって読んだのも、このころであったように思うが、それを読むだけの素養などはなかったに違いないから、読むには読んでも実は何もわからなかったであろう。専門学校で心理学の概論めいた講義を聞いて、それをおもしろく思い、それに誘われてそのころ世に出た心理学に関する書物を二つ三つ読んだことはあるが、哲学史などの講義はなかったようであるから、どうしてこんなものを読もうとしたか、それすらおぼえていない。こんなような読みかたをしていたのである。しかし、シラトリ先生とたびたびお話をするようになってから、学問の匂いとでもいうようなものが、かすかながらに感ぜられたと共に、その学問の一つとして歴史に心がひかれるようにもなって来た。
ところが、二十八(一八九五)年であったかと思うが、先生の中等学校で使う西洋史の教科書の編述のお手つだいをすることになった。先生はそういうものを書くことを好まれず、またそのひまももたれなかったが、或る書肆の懇請をことわりきれず、それを引きうけられたのであった。そのころによい教科書がなかったからのことであったらしいが、あるいは、ぼくに一つのしごとをさせようという心づかいが、それに含まれていたかとも思う。